コロナでアメリカ不動産価格は下がった?
日本も緊急事態宣言が5月末まで延長となりましたが、
こちらロサンゼルスでも、外出自粛はまだ続いています。
気温が日によっては26~27度くらいまで上がるようになってきたので、
小学校4年生のうちの息子は外に出たくて出たくてウズウズしています。
アメリカの中部・南部に州では規制を緩和する動きも出てきているので、
みんなが外で楽しそうにしているニュースを見ると、本当にうらやましいですね。
さて、Stay at Homeの外出規制が始まったのが3月中旬なので、
はやいものでもうすぐ2か月になります。
そのあいだの不動産価格はというと、
「変化なし、、、」
一部の物件では値下げもありましたが、ほとんどの物件は価格改定をすることはなく、
10~20%くらいの物件は、リスティングを引っ込めてしまいました。
外出規制で家を見にくる人もいないし、価格も値引き交渉されるだろうから、
外出規制の期間中は売るのをやめておこう、ということ。
経済サイクルによる景気後退や、2008・2009年のリーマンショックは、
経済活動が自然にスローダウンするものであり、企業の倒産や従業員の解雇を伴うものです。
でも、今回のコロナウイルスによる規制は、政府や州による人為的な規制であり、
自然発生的に需要が落ち込んだり、金利上昇による景気悪化を招いているわけではありません。
企業の供給能力も、消費者の購買力も基本的には変わりません。
アメリカの不動産価格が下がらないのはなぜ?
変なたとえかもしれませんが、通常の景気後退は、
「風邪を引いて具合が悪くなり、その後次第に体力が回復していく」
でも、今回は
「はい、ちょっと息を止めて~!」「はい、もういいですよ!」
そう、規制が解除されればすべてが元通りのイメージです。
売り手にしてみれば、息を止めている間に無理して売らなくても
元の戻ってからでいいや。という考えなんですね。
さらに、売り手を強気にさせていることに以下の2つがあります。
1.市場に売り物件の在庫が少ない。コロナ前は価格上昇の見られる強い市況だった。
2.モーゲージ金利(住宅ローン金利)が史上最低の水準
1.は需要と供給の話ですが、カリフォルニアでは通常は売り手が有利なマーケットです。
すなわち需要が強く供給がそれに追いついていない状態です。
2008・2009年のリーマンショック後から、約10年にわたってずっと右肩上がりの成長を
続けてきました。
アメリカは経済成長をずっと続けており、またインフレ率も約2%を維持しています。
よって、価格が2~3割上昇したのは決してバブルではありません。
また、カリフォルニアでは新規住宅の供給数が常に需要を下回っています。
2.のモーゲージ金利が史上最低レベルも大きく影響しています。
5月に入ってからは30年固定金利が3%を切るレベルにまで低下してきました。
日本の住宅ローン金利からみればまだまだ高いかもしれませんが、
アメリカの金利水準としては非常に魅力的です。(インフレ率が2%ありますし)
モーゲージ金利が低いと、同じ月々の返済額でも借り入れ可能金額が増加します、
すなわちより高額な物件が購入可能ということです。
これらの要因から売り手にしてみれば、ちょっと我慢して待っていれば、
きっとコロナ前と同水準の価格で売却できる、と考えているんですね。
「いやいや、コロナの影響はそんなに単純ではない。きっと不動産価格にも影響がでるはずだ」
というご意見ももっともです。
次回は、そちらも考察していきます。
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