物価は上がるもの?
私がアメリカ・ロサンゼルスに移住してきたのは、2015年9月でした。戦前に移住されている日本人の方々も多数いらっしゃるロスでは、我が家はまだまだ新参者です。
でも、日本の感覚がしっかりと残っているからこそ、こちらに来て肌感覚でよくわかったことがあります。それは、
「物の値段は毎年上がる」
ということ。
日本にいるときはすっかり忘れていました。
もっとも値上げを感じるのは、インフラや公共料金。
ケーブルテレビの月額視聴料、電気代、水道代、、、
じわじわとでも確実に毎年改定されて上がっていきます。
これ、家賃も一緒です。
良心的な大家さんだと、テナント(賃借人)が変わらない限り値上げしないという場合も多々ありますが、管理会社が間に入るような大型のアパート物件だと、毎年ほぼ必ず値上げされていきます。
アメリカでの年間インフレ率はこの20年間ほぼかわらず約2%を維持しています。
かたや日本はほぼ0%がずっと続いております。
あまり日本で報道されることはありませんが、この違いは非常に重要なことです。
インフレ率2%ということは、物の値段のみならず、サービスの代金、銀行の預金、アメリカ中のすべての「価値」が基本的には、毎年2%ずつ上昇していくということ。
サラリーマンの給料も!
不動産投資のパフォーマンスを測るには?
サラリーマンの給料も含めて物価が2%上昇するということは、不動産投資家目線で考えると「物件価格」と「家賃」の両方が平均2%ずつ毎年上がるということ。
投資用の不動産物件の購入を検討する場合、よくCAP利回りを使います。
でもこれ現在の想定家賃と現在の物件価格にもとづいた計算です。物件購入後短くても4~5年はその物件を所有するにもかかわらず、です。
なぜ、初年度のそして単年度での投資尺度で、投資判断をしてしまうんでしょう。
不動産投資は、おそらくほとんどの投資家にとっては、将来いつかは出口として売却をされると思います。であればその物件の不動産投資としての最終成績は、将来時点での売却価格によって、投資収益は大きく変わります。
また、その途中の保有期間にかかる、管理・維持費、空室率、その他費用等によっても投資収益は変わります。
いくら単年度・初年度のCAP利回りが良くても、その投資が成功するかどうかはそれだけではわかりません。
物件購入から売却まで全体を考えて、投資判断をしたいもの。
でも、不動産投資は、債券のように一定のクーポンが定期的に支払われるものではなく、お金の出入りは不規則です。
そんなときに便利なのが、
「IRR」(内部収益率)
よく説明として記載されているのは、
「IRRとは、投資期間のキャッシュフローの正味現在価値(NPV)が0となる割引率をIRR(Internal Rate of Return:内部収益率)」
ちょっとわかりずらいので不動産投資を例に説明を加えると、
物件を購入後、入ってくる家賃や支払う管理・維持費、そして将来物件を売却したときの受け取る金額を、何%で割り引くと物件購入時に支払った金額と同じ(等価)になるか。
というもの。
もっと簡単に言ってしまえば、
物件購入金額(投資資金)が全投資期間で見たときに、何%で収益を生んだことになるのか、という投資尺度になります。
IRRはキャシュフローが一定でない投資での収益率を計算できるので、他の投資商品との比較も簡単です。
例えば、
「持ち家派」V.S.「賃貸派」
で、どちらが得か? なんて議論もIRRを使うと数字で判断することができます。もっとも、所有した家の将来の物件価格や、賃貸を続けたときの将来における家賃相場は、あくまで予測になります。
よって考え方によって、どちらが有利不利は変わってしまいますが、少なくとも、自分の考える将来予想のシナリオにおいて、家を所有したほうがいいのか、借り続けたほうがいいのかの判断はできます。
このようにIRRは投資尺度として非常に優れているツールだと思うので、もっと広く使われるようになってもらいたいと考えてます。
(補足:IRRを高めようとすると、不動産投資の場合は融資を使って自己資金を少なくすればIRRは高くなっていきます。(レバレッジが高くなる)しかし、同時に投資が想定どおりに行かなかった場合のリスクも高くなっていくのですが、IRRではそこのリスクの大きさまでは測ることができません。でもリスクコントロールは大切な概念だと思うので、また別に記事でまとめてみます。)
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